【平壌6月5日発朝鮮中央通信)
国際安全保障問題の評論家チェ・ジュヒョン氏が発表した文「フランスの矛盾した振る舞いはこの国が欧州の代表者になり得ない主な理由である」の全文は、次の通り。
最近、フランス大統領のマクロンは第22回シャングリラ会合で朝ロ間の正常な協力関係に言い掛かりを付け、欧州に対する朝鮮の介入を防がなければ、NATO(北大西洋条約機構)がアジアに介入するであろうと発言した。
実に、矛盾的で盗人たけだけしい詭弁である。
朝鮮民主主義人民共和国武力は、マクロンが主張したように欧州に「介入」した
のではなく、国連憲章第51条と朝ロ間の包括的戦略パートナーシップ条約の第4条に準じて同盟国の領土を侵攻したウクライナのネオナチストらを撃退するための正義の解放作戦に参戦したのである。
国際法に完全に合致する朝ロ間の正常な軍事協力関係は、いかなる場合にも非難の対象になり得ず、アジア太平洋地域に対するNATOの軍事的干渉の名分には全くなり得ない。
マクロンが、朝ロ軍事協力関係がアジアに対するNATOの介入の名分になるかのように描写したが、同地域に対するNATOの軍事的進出は朝ロ軍事協力関係が結ばれる以前にもはや始まり、他ならぬフランスがその先頭に立っていることは厳然たる歴史的事実であって誰も否認できない。
2019年、欧州で真っ先にインド太平洋戦略を打ち出したフランスは、毎年、朝鮮半島水域を含むアジア地域に軍艦と戦闘機を派遣して情勢を絶えず緊張させてきたし、今年は1968年以降、ほぼ60年ぶりに初めて空母打撃群までアジア太平洋地域に送り込み、米・日と火薬のにおいの濃い合同軍事演習「パシフィック・ステラー2025」を強行した。
一方、NATOは「欧州とアジア太平洋の安全保障の不可分」をうんぬんし、久しい前からアジア地域に黒い魔手を伸ばしてきたし、2022年から韓国と日本をNATO首脳会議、NATO外相会議に定例的に招くなど、西側に追随する幾つかの地域諸国を自分らの組分け戦略に引き込むための動きを日ごとに強めている。
現在、アジア太平洋国家は、近年、地域に対するNATOの軍事的進出の規模と頻度数が持続的な増加推移を見せている中、フランスがその前列に出ていることに冷静な視角で注視している。
事実がこうであるにもかかわらず、マクロンが逆になった論理を主張したのは、彼がアジア太平洋地域情勢に対する洞察力や知識が非常に貧弱であるか、あるいは意図的にうそをついたとしか他には見られない。
自分らの危険極まりない軍事的蠢動(しゅんどう)は全て棚に上げたまま、マクロンが朝ロ協力関係にむやみに言い掛かりを付けるからといって、アジア太平洋地域に汚らわしい軍靴を押し込もうとするNATOの侵略的な下心を覆い隠すことができると思うなら、それは誤算である。
フランス大統領が米・中競争の被害者にならないため、欧州とアジアの国々が「連合」を創設すべきであると唱えたのもやはり、アジア諸国に武器を売り払い、同地域に対する自分らの軍事的進出と影響力の拡大を合理化するための利己的な偽善にすぎない。
フランス大統領の軽率な今回の発言は、それに伴う不結果についてはものともせず、衝撃的かつ人気主義的で非現実的な主張を連発し、自分の存在感を誇示するのが好きな政治家として公認されている事実を再び遺憾なく浮き彫りにさせた。
フランスは、極度の自己過信に溺れて状況の把握を誤っている。
フランスとNATOがアジア太平洋地域に入ってきて平和と安定を撹乱(かくらん)させようとするほど、地域諸国のより強力な反応を誘発させるであろうし、それは彼らの戦略的地位の弱化につながるであろう。
フランスは、自己の矛盾した振る舞いによって自国が欧州の代表者に認められていないことを一日も早く悟るべきである。---
www.kcna.kp (2025.06.05.)